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文字とか絵とかもうなんでもありのたらたらブログ。 主に創作や版権感想など。予告なく過激表現が出現する危険もあります。御了承ください。
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危ない危ない。一生に一度のにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんの日を危うく逃す所でした。
ここを逃したら、猫ダイスキーとしての名折れでした…

とりあえず、今日というこの日に何かしたい!
ので、
猫系の何かを書きました。
本当は、うちねこを書き終えた後の後に持ってきたかったんですけど…諸事情により。

まーいーっか。
それいけにゃんこ、お前の肉球で世界は平和になる!











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 灰色の、異常に背の高い建物ばかりが立ち並ぶ。それを支える地面も、同じような灰色だ。
 アスファルトの地面やコンクリートの壁は、太陽に炙られれば火傷しそうなほど熱を持ち、雨が降れば水を弾き返してそこら中に水溜りを作る。
 そんな自然からかけ離れた場所、ビルとビルの隙間の細い路地に置かれた小さな薄汚れた段ボール箱の中が、《彼女》の世界だった。
 
 ポツリと落ちてきた雨粒に当たって、《彼女》はぶるりと身を震わせた。
 ここに来た最初の頃こそ、一日中助けを求めていたけれど、最近ではもう諦めていた。
 何時になるかもわからないもしもを考えるよりも、今この瞬間の雨のほうが問題だ。
 折れた箱のひさしが少しは《彼女》を守ったけれど、それでもここはひどく寒かった。
 
 突然の大嫌いな雨に、少しでも近道をしようと路地へ入った青年は、計らずも対面することとなった。
 あたかもできすぎた演出のように。丁度青年の目線の先におかれた段ボール箱の中の、小さな生命。
 青年は歩を止めると、困ったなあ、と呟いて、箱の前にかがんだ。
 
 「捨てられちゃったのかい?」
 
 長い間箱の前に座りながら、青年は考えていた。一体《彼女》をどうするべきなのか。
 連れて帰るべきなのか。それともこのまま放っておくべきなのか。
 もしこの命を背負ったとして、青年には、これから最期の時までの責任を取れる自信はなかった。何の保証もない中途半端な覚悟でいても、《彼女》も自分も不幸になるだけだと、十分にわかっていた。
 それでも青年は、この命を救いたいと思った。救える命がそこにある。だから救いたい。
 そして何より、生きたいと訴える《彼女》の強い瞳に惹かれた。
 
 なぜならそれは、青年自身がとうに失ってしまったものだったから。
 
 
 「ウチに、来るかい?」
 
  《彼女》はじっと青年の目を見返していた。青年が何を言ったのかはわからない。だが、問いかける調子の声から何かやさしさを感じて、《彼女》は青年にニャア、と返事した。
 「――――――――――。」
 にっこりと笑って青年が手を差し出す。
 《彼女》の新しい世界が、今日、始まった。
 
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