文字とか絵とかもうなんでもありのたらたらブログ。 主に創作や版権感想など。予告なく過激表現が出現する危険もあります。御了承ください。
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と思ったので、アップです。
連載第一回目☆ ちなみに全部フィクショーンですから。当然の如く。 あと一応、無断転載とか、しないでくださいねー。と言っておきます。誰もしねーよ。 ============================================================================== ウチの猫が誘拐されたんです、とその女性は言った。 はあ、と曖昧に頷いてから、警察官は少し困ったように首を傾げた。
「ネコ、ですか。」
しかも誘拐って。
そんな、馬鹿な。
【ウチのコ、誘拐されました】 その女性がやって来たのは、昼の一時半を過ぎた頃だった。
警察官――武東 岩音は、丁度昼食を終えた頃で、少しうつらうつらしていた。
特に事件も起きないし、交番の戸を開けていると、日の光と共に心地よい春の風がそよそよと入ってきて益々眠気を誘う。
五分だけ。五分だけ寝てしまおうか――などと考えていたその時、コツコツという靴音と共に「あのう」という遠慮がちな女声が聞こえて、武東は慌てて机から上半身を起こした。
「あッ、あ、失礼!」
「いえ、あの、お休み中に失礼します。」
「いや、あの」
こちらこそすみません、と言いかけて、武東は続きの言葉を失った。
交番の戸口に立っていたのは、途轍もない美人だった。切れ長の優しい目元に、ゆったりと括られた黒髪が、色白の肌に良く映えている。
「あの」
無意識のうちに女性に見惚れていた武東は、その声にはッと我に返った。
反射的に立ち上がった瞬間に机の角に膝を思い切りぶつける。
「痛、ほ、本当に失礼しました!何のご用でしょうかッ!?」
涙目になりながらビシ、と敬礼を決める武東を見て、一瞬女性の表情が和んだ。しかし、思い直すように表情を引き締めると、彼女は悲愴な面持ちで武東を見上げた。
「うちの猫が誘拐されたんです。」「はあ……」
意外、というか完全に予想外の答えに、武東はどう反応していいか分からず、とりあえず一つ頷いた。
そして、一番重要な部分を聞き返す。
「ネコ、ですか。」
「猫です。」
はっきりと肯定して、女性は真剣な表情で武東を見上げた。
「助けて戴けませんか?」
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