文字とか絵とかもうなんでもありのたらたらブログ。 主に創作や版権感想など。予告なく過激表現が出現する危険もあります。御了承ください。
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時間がないのでAGEるだけAGEまふ。
続きからどぞー。 ================================================================================= 「いや、助けます、けど、何というかですね……あの」 武東の頭の中では、猫、と誘拐、という単語が全く繋がらない。少なくとも、これまでの武東の人生24年間の中に、そんな出来事はなかった。
というか、心配性なだけでただ単に『帰ってきていない』だけなのではないか。
「あの、散歩中なだけじゃないですか?いつもより遠出してて、とか。」
遠慮がちにそう言うと、しかし女性はきっぱりと「いいえ」と否定した。
「いつもあのこはこの時間、家で寝ている筈なんです。それに、家の郵便受けに、こんなものまで。」
そう言って女性がハンドバックから取り出したのは、白いハンカチで包まれた、二つ折りの紙だった。
武東は指紋を付けないように白手袋を嵌めてからそれを受け取り、紙を開く。
「ああ……これは」
それは、新聞を切り貼りして作られた脅迫状だった。大小の無機質な切り抜き文字が並んでいる。
[オ 前 の 家 ノ ネ コ を 預 カ つ た 返 シ て 欲 シ い な ラ 金 を 出 セ]
その文章を三回読んでから、それにしても、と武東は心の中で呆れた。
――今時なんて古風な……
今時、パソコンなりワープロなりという文明の利器があるのだから、筆跡をごまかす為ならそっちを使うほうが良い筈だ。というか、取り敢えず、新聞の切り貼りなんかよりもっと良い方法があるはずだ。絶対。
「……」
これ以上考えると何だか阿呆らしくなりそうだったので、武東は無理やり思考をストップさせた。
そして、何とか頭を切り替える。
取り敢えず、どうやら本当にこの女性の飼い猫は誘拐されたらしい。
イマイチどころか全くピンとこないが、事件が起きたら解決し、市民の平和を守る。これが警察の務めだ。
しかも今回の被害者(の飼い主)は、ただの人ではない。とんでもない美人なのだ。これはやるしかない。
そう思うことで、武東は半ば無理やり気合を入れた。
そして、ヨシ、と女性の方に向き直る。
「判りました。猫が無事帰ってくるよう、全力で協力致します、えーと、」
そこまで言ってから、武東はまだ女性の名前を知らなかったことに気が付いた。
「あの、お名前は?」
今更ながらに名を問うと、女性は一瞬意外そうな表情をした後、ふわりと微笑んだ。
「そういえば、まだ名乗っていませんでしたわね。……カスカベ キョウカと申します。京都の京に、花と書きます。」
春日部 京花、と書くのだろう。綺麗な名前だ、と武東は益々やる気が湧くのを感じた。
「春日部さんですね!自分は武東 岩音といいます!」
「カスカベだあ?」
「え?」 PR この記事にコメントする
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