文字とか絵とかもうなんでもありのたらたらブログ。 主に創作や版権感想など。予告なく過激表現が出現する危険もあります。御了承ください。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
皆様、メリークリスマス☆
え?サンタさんが何をくれたのかって? そうだねえ…… 昨日終電今日4:30起きっていう事実かな……(遠い目) とりあえず、昨日に引き続きアソデルセソに挑戦です。 マッチ売りの中年男 後編 ↓どぞ↓ CM明けみたいなあらすじ↓ 「どうしようかなあ、やろうかなあ、でもこれで最後だしな。」 最後の一束を手に、マッチ売りの中年男は悩んでいた。
こういう優柔不断なところが貧乏暮らしの一角を成していたことは、歯牙にもかけない。
散々迷った挙句に、やっぱり男は商売物に手を出した。
「ええい、ままよ!」
威勢よくマッチをする。
そして。
===================================================================================== 「うわあ!」
靴をなくした冴えないマッチ売りの中年男は情けない悲鳴を上げた。なんと、炎の中に死んだはずの女房がいる。
怖い。
口やかましくて、暴力的で、馬にけられて死んじまえが口癖だった、本当に馬にけられて死んじまったはずの女房が、いる。
何か言いたそうにこっちを睨みつけながら。
靴をなくした冴えないマッチ売りの中年男の、ただでさえよくなかった顔色が、さらに悪くなった。
叱られる要素は五万とあるのだ。
靴はなくしたし、商売物には手を出したし、何よりこんな暮らしだし。
「き、消えちまえ!」
男は悲鳴のように叫んで、燃えているマッチの火を慌ててもみ消した。
炎の中の女房は、すごい形相でこちらを睨みつけたまま、消えてしまった。
「やれやれ。」
男はほっと息をついて、改めて自分の周りを見回した。
「あーあ、商売の元手も無くなっちまった。」
無残に散らばるマッチの残骸。
「でも、女房が消えて、よかったなあ。」
ふう、と息をついた、その、時。
「誰が消えて何がよかったって、え?」、
靴をなくした冴えないマッチ売りの中年男は地面から数十センチも飛び上がった。
絶対に、認めるわけにはいかない現実が、後ろにいる。
夢か、夢か。
「ゆゆゆ、ゆめ。」
「ゆめじゃないよ。この間抜け。」
「ひゃあああ」
「商売物に手を出しやがって、暮らしてけないじゃないか、この馬鹿。馬にけられて死んじまえ。」
やけにきしむ首を無理やりに後ろに回せば。
「ひゃあああ」
「うるさいよ、で?なんだって、誰が消えて何がよかったんだい?え?」
まるで般若のごとく。先ほど炎の中に浮かんでいた、死んだはずの女房が、二本の足で立っていた。
ジングルベル、ジングルベル
クリスマスの、小さな奇跡のお話であった。 メリークリスマス!! PR この記事にコメントする
|