文字とか絵とかもうなんでもありのたらたらブログ。 主に創作や版権感想など。予告なく過激表現が出現する危険もあります。御了承ください。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ブログに原色大辞典をいれまして。和色のにしてるんですが。
今日でた色で小話を一つ。 書いていたら勝手に「じゅくこー」モノになってた。 あと今更ながら、 男子の口調難しい。 今日の色は、 「躑躅色(つつじいろ)」
=====================================================
「うっわ趣味悪ィ!」 待ち合わせに無断で五分も遅れてきたくせに開口一番そう宣うような男と長く友人をやっている自分は、もしかしたらすごい人間なのかもしれない。 「何、どこかキモい訳?」 そう言いながら、足元から今日の自分の服装をチェックしていく。 黒のワーキングブーツ。履きこんで少し色が落ちてきたこれまたブラックのジーンズ。暗い紺色のPコート(短め)の下には、グレーとブラックのボーダーシャツ。鞄はブラウンのメッセンジャーバッグ。 至って普通である。流行に乗っかった、ちょい軽大学生を見事に演出していると思うのだが。 「これの何がダメな訳」 「バーカ、首くび」 ちょいちょい、とライダースジャケットから襟巻がお洒落に覗いた首元を示されて、真似して自分も首元に手をやる。 もふ、と柔らかい感触がした。 「え、超あったかいんだけど」 柔らかい毛糸でもふもふに編み上げたマフラーは、今年一番の友達だ。柔らかいくせに風を通さないコレのお蔭で、何度冷たい道行きから救われたことか。 「いや俺だって、マフラーには罪ねぇと思うけどよ」 「けどなによ」 「色がな」 「いろぉ?」 そ、と重々しく肯いた後、溜めに溜めてから友人はビシ、とこちらの喉元――マフラーを指さしてきた。 「ショッキングピンクとか、ねーから!」 「……あん?」 「何でおま、選りによってそのピンクだよ!?ねーよ!なくね!?」 「元気出るじゃん」 「理由それ!?」 あまり騒がれると、いくら付き合いが長かろうと、うざい。 「うっせー。つーか、違ぇし。ショッキングピンクじゃねえし」 は?の形に表情が固まった友人にあのな、と説明してやる。 「これは、躑躅色」 「はぁ?ツツジ、って、公園に咲いててよく蜜吸うやつ?」 「……」 「あ、今じゃねえから!ガキの頃な!ガキの頃!」 思い切り憐みの視線で見てやったら、さすがに気付いて弁解していた。 「へー確かにツツジってこんな色してたわ。思い出した懐かしー」 「ツツジは春に咲くから、ちょっと先取りしてやろうと思って」 「イミフ」 「うっせバカ」 分からなくていい。春が一足早く欲しい理由。そんなん。 「あ、っつーか、そろそろじゃね?」 「何が?」 「ほらあれ、お前のバイト先の」 「じゅくこー?」 聞き返すと、そうそう、と肯かれた。 「公立の試験結果出んのさ」 「――ああ」 「テキトーに乗り越えて来ちゃった者としてはさ、もう親心で頑張れって感じだよな」 ひひ、と責任感皆無の感じで笑う友人の姿に、こちらは何故だか苦笑を誘われる。 「――だな」 「あー!俺には違う意味で春来ねーかなーっ!」 一生口閉じてれば出来るかもな、といつものように言いかけたのを抑えて、今日はただ生ぬるい微笑で勘弁してやるよ。 「つーかお前、遅刻の分際で喚いてんじゃねえよ。映画付き合ってくれって頼んできたのは誰だよ……」 「俺!」 「じゃあちゃっちゃと歩け」 「はいよー、最近柄にもなく緊張してるトモダチのために、この俺が超脱力系・抱腹絶倒のアクションコメディー映画を紹介してやるからねー!」 「……うっせ」 サクラサク、春になれよ 赤井太陽 三年・国語中心 PR |