文字とか絵とかもうなんでもありのたらたらブログ。 主に創作や版権感想など。予告なく過激表現が出現する危険もあります。御了承ください。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 ストレス解消に最近お絵かきしすぎている。 =============================================================================== 「か、春日部さんっ?!」 完全に予想外の声に、武東の心臓が大きく跳びあがる。
「何かありましたか?」
反射でそう尋ねてから、何かあったから電話が来たのだと思い至る。
電話の向こうでも、武東の心のうちを察したのか、小さく微笑む気配がする。
「ええ、実は……先程、犯人の方から電話がありましたの。身代金の金額だけを言って切れてしまったのですけれど。」
「他には何か?」
「ええ、何も。ただ後ろで黒丸の声が聞こえていましたから、あの子は無事なようですが。」
「そうですか、それはよかった……」
京花の言葉に、武東は取り敢えずほっと胸を撫で下ろした。
まだ猫は無事のようだ。
「こちらの方でも、色々わかった事があるんですよ。不安でしょうが、気を強く持ってくださいね。頑張りますから。」
「ええ大丈夫です。私は最後まで戦います。」
武東の言葉に、京花はきっぱりとそう応えた。だが、すぐにその声が悲しみを帯びる。
「でも、あのこの……黒丸のことを考えると、可哀想で……どんな恐ろしい目に遭っているのか、考えるだけでも辛くて……。ですから、どうか、どうか早く助けてあげてください……お願いします……!」
かすかに震えるその声を聞いて、武東は心臓がズキリと痛むのを感じた。
早く、出来る限り早く。
助けなければ。安心してもらわなければ。
そう武東は改めて決意する。
「春日部さん!絶対、絶対に黒丸君を無事に取り戻しますよ!犯人だってもう目星は付いているんです!犯人は絶た」
絶対に月下会、と言おうとしたら、武東の手から受話器が消えていた。
「あー、もしもし。渡良部ですけど。」
横を見ると、いつの間にか渡良部の手に受話器が移っていた。
「まあ、武東の言ってる通り、犯人は大体絞れてるんで。はい。……ハイ、はいじゃあそういうことで。では。」
あっさりと電話を切ってから、呆れたように渡良部は武東を振り向いた。
「……武東。」
「……はい。」
いかにも困った、という表情でため息を吐かれ、武東は面目ないとうなだれた。
「すいません……ちょっとアツくなっちゃって。」
「アツくなっても捜査内容は喋っちゃダメなの。気をつけろよ。」
「……面目ない。」
しょげる武東にもう一度ため息を吐いて、渡良部はさて、と表情を改めた。
「まあ猫だしな……まあいいや。とりあえず、報告。」 PR この記事にコメントする
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